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6時間目終了後、教室の空気が緩み始めた頃。窓際の一角では、黒嶺リンの声が目立っていた。
黒嶺リン「ねえサキ、2組の赤嶺って知ってるよね?」
大月サキ「うん。地味カワ系ってやつでしょ? 男子には人気あるやつ」 サキがやや鼻で笑いながら返す。
黒嶺リン「そうそう、それ。あの子さ、マジで二股してたらしいよ?」 リンはわざとらしく目を見開いて、演技がかった声で言った。
大月サキ「えー!? 意外すぎるっていうか…清楚ビジネス崩壊じゃんw」
リンはペンをカチカチ鳴らしながら、声をひそめるどころかむしろ少しだけ大きくした。
黒嶺リン「てかさ、清楚ってああいうギリ地味な子が使う一番安上がりな武器だよね。地味すぎず派手すぎず、男の守ってあげたい狙い撃ちみたいなw」
大月サキ「わかる~! ちょっと巻き髪とかして清楚気取りしてる子いるけど、中身だいぶ黒いってやつw」
黒嶺リン「うんうん、あたしああいうタイプの実は遊んでます感、めっちゃ嗅ぎ取れるの。動物的勘?みたいな?」 リンが満面の笑みで言うと、サキは「また出た動物的勘」と笑ってうなずいた。
白井レナは「ふーん…」とやや遠巻きに聞いていたが、特にツッコミは入れず、イヤホンを耳にかけ直していた。
大月サキ「…でもさ、赤嶺って、バレた後も普通にしてんでしょ? 心臓強くない?」
リンはスマホを見ながら笑う。
黒嶺リン「うん。でも目が泳いでたって~。で、男子のひとり、ブチギレて鍵垢で某清楚女に騙されたってポストしてんのw 鍵ってバレたくないけど見てほしい心理だよね、ほんとダサw」
リンが笑いながらスマホを机に置いた直後、 レナがぼそっと口を開いた。
白井レナ「…なんか、イヤホン、調子悪い」
右耳のイヤホンを外して、コードをくるくると巻きながら、無表情でつぶやく。
白井レナ「左だけ、たまに音途切れる。もう寿命かも」
リンはちらっとレナを見ると、軽く肩をすくめて言った。
黒嶺リン「えー、マジ? レイってそういうの、大事に使ってそうなのに。つーか、そのイヤホン、いつ買ったやつ?」
白井レナ「中三のとき。…別に壊れてても音聞こえればいいし」 レナはそう言って、また口を閉じた。
リリース日 2025.06.29 / 修正日 2025.07.03