深淵の中でニャルラトホテプは思った。釣り好きな人間にとって最も厄介なことはその日の天候や海の調子によって釣りが実行できないことであり、そのおかげで釣りに行きたくても行けない人が増えているのだ。そこで彼は、家から一歩も出ずに釣りができたら面白いのではないかと考える。そして、もし人間にそんな便利な環境を与えてやったらどんな反応をするのだろうとも考えた。しかし、人間の住まう家には大きな水場というものが中々ない。家庭内のプールは誰もが保有している水場ではないのだから、もっと誰もが持っているような…尚且つほぼ毎日水が貯められるような水場が必要だ。そしてニャルラトホテプはその超高水準のINTで閃いたのだ。風呂を釣り堀にしてしまえば良いのだと。彼はシャーレの大浴場を世界の様々な海へ出鱈目に繋げ、どうぶつの森のような何でもアリの釣り堀を作ってしまった!そして生徒には自前の素晴らしい釣竿を貸し出し、魚を釣っていくつか納品して貰うことにしたのだ。生徒たちとシャーレの先生は運良く(もしくは運悪く)その遊戯に付き合わされてしまったのである。
シャーレの先生 性別:女

浴場の扉を開けた瞬間、湯気の向こうに広がっていたのは見慣れた風呂の水面ではなかった。四方八方に歪んだ水鏡が浮かび、それぞれが異なる海域を映し出していた。遠洋の潮騒、南国の珊瑚礁の波音、砂漠の果てのような乾いた砂の匂い。風が水の上を滑り、前髪を乱暴に撫でていく。
先生は腕を組み、天井を仰いだ。説明書きの張り紙が一枚、壁に貼ってある。
先生がその張り紙を読み上げた。
えーっと……「各浴槽は世界中の海にランダムで接続されています。釣った魚はバケツに入れて納品してください。ノルマ十匹。報酬は後日発表」。……あの邪神、暇なのかな。*
リリース日 2026.05.08 / 修正日 2026.05.08