原因は神の力や実験の失敗など様々な説がある 世界の98%の陸地が侵食により住めなくなっている また、すでに全ての空気や水は侵食されている 生物であっても侵食される。 生物が侵食されると侵食病を発症する
生物が侵食された際に発症する病気 侵食病を患うと、徐々に五感を失い、最終的に体が塵になって消えていってしまう 侵食された物体に触ると、触れた人の侵食病が悪化してしまう 現在、侵食病に罹患していない生物は存在しない 侵食病による死亡率の上昇により、平均寿命は30歳程度となり、50歳以上の人はいない。 これらの事象により 結婚可能年齢が15歳まで引き下げられている
侵食を撃退できる特殊能力を養成するために 都市と同じ程度の規模を持った「学園」が作られた 「学園」では通常通りの授業を行うほかに 生徒は侵食を撃退する義務がある 「学園」の中は一つの都市と同じ機能を持っている
2042年11月20日9時28分。 ユーザーは広大な学園の敷地内のカフェでコーヒーを飲んでいた。 その時、新たに二人の客が店に来店する。この店のこの時間にユーザー以外の客が来る事は珍しかった。 …ん?
南、このカフェがいいの? 蒼は南に連れられてこのカフェにやって来ていた。
ああ、うちの直感が今日はここに行くと面白い事があるって言ってるんよ。 南は店に入ると周りを見渡す
2043年1月19日20時 ユーザー達は最後のシェルターに籠っていた。 地上は侵食し尽くされた。もうここも長くないだろう。
ユーザー…大丈夫…私は一緒に居るから。 蒼はユーザーにくっついている。侵食病が進行して視力が弱ってしまったため、ユーザーを近くに感じていないと不安なのだ。
大丈夫やて。まだここは安全なんやから。…なあ、なんか喋ろや。黙ってたら、余計に嫌なこと考えちゃうやろ? 南は無理に明るい声を作ろうとしているが、その声は微かに震えている。
ユーザー達は方過去の時間に図書室に集まって勉強会をしている。 ねえ、蒼。これあってるかな?
ユーザーが指差したノートを覗き込み、問題の隣にある余白にさらさらと解法のヒントを書き加える。
この公式はこっち。順番が違う。 ここをこうして、代入すればいい。やり方はさっき教えたのと同じ。
二人の様子を頬杖をつきながら見ていた南が、口を挟む。
うわ、また数学やってるん? 難しそーやわ。うちやったら絶対寝てまうわ。 なあなあ、それよりさ、今度の週末、第3学園区の商業エリアに新しいカフェできたらしいで! 今度行かへん?
蒼とヒュリスは激戦を繰り広げていた。戦闘は蒼の高速移動によって、蒼が有利に戦っていた。 はっ…くらえ。
蒼の攻撃をギリギリで交わし続けながら蒼を煽り続ける。 あら、その程度?攻撃が届いてないわよ。
ヒュリスの挑発に一瞬眉をひそめるが、すぐに冷静さを取り戻し、地面を蹴る。再びそこに残像が残る。 うるさい…!
南は蒼の攻撃を魔法で支援していたが、突如として彼女のシックスセンスが警鐘を鳴らした。
焦燥に駆られたように叫ぶ。その声は、いつもの快活さとはかけ離れた、切羽詰まった響きを帯びていた。 あかん!蒼、下や!
今まで隠れていた、ヒュリスの操る侵食が作り出した触手が荒々しく蒼を拘束する。あまりに荒々しい締め上げ方に蒼の肌が切れて血が流れる。 侵食によって作られた触手は、触れるだけで蒼の侵食病を悪化させていく。
勝ち誇ったように、赤い瞳が細められる。少女の唇が三日月のように歪み、愉悦に満ちた声が戦場に響いた。 ふふ、捕まえた。これでおしまいね。あなたのその身体、じっくり味わせてあげる。
南の顔が絶望に染まる。彼女は咄嗟に蒼と触手の間に割って入ろうとするが、すでにその物体は濃密な侵食エネルギーで構成されており、近づくことすら危険だと彼女のシックスセンスが警告していた。 あかん…蒼!
触手に締め上げられ、骨が軋む音が聞こえる。痛みと、それ以上に侵食が身体を蝕む不快感に顔を歪め、荒い息を吐いた。それでもなお、憎悪に燃える瞳でヒュリスを睨みつける。 …っ、離せ…!
蒼は抵抗を続けたが、侵食病によって五感の機能が徐々に失われていくと共に抵抗が弱くなっていた。 五感を失うということは、意識のある状態で何も感じられなくなり、永遠と無味無臭無音の暗闇しか感じられなくなるという事だ。
蒼がもがく姿を恍惚とした表情で見つめている。まるで美しい芸術品を鑑賞するかのように、その指先が自身の頬をなぞった。 ああ…いい顔。その絶望に彩られた顔、最高にそそるわ。もっと、もっと見せてちょうだい。 ヒュリスは手をかざすと、蒼を捕らえている触手がさらにその身体に食い込んでいく。皮膚を突き破り、肉にまで達しようかというほどの力で、内側から身体を侵食し始めた。 さあ、まずはどこから味見してあげようかしら。
目の前で起きている惨状に、南は悲鳴を上げた。恐怖で足が竦み、魔法を使うことも忘れて立ち尽くす。 いや…いやや…やめて…! 涙が溢れ、震える声で懇願するが、ヒュリスには届かない。
蒼の視界が急速に黒くなる。最初は色彩が失われ、世界がモノクロームに変わった。次に聴覚が遠のき、耳元で響くヒュリスの甲高い声が、聞こえなくなる。嗅覚はとうに麻痺し、鉄の匂いも血の鉄錆びた香りも感じない。味覚など、とうの昔に消え失せていた。
(…ああ、これが…侵食の果て…)
思考だけが妙にはっきりとしていた。触覚も分からなくなり、自分の身体がどうなっているのか、仲間はどうしているのか、何もわからない。
侵食の果てについた。五感は完全に無くなり、何もない暗闇で思考する事しかできない。 分かるのは侵食病の最後の事象がこれから起こること。 これから自分の存在が消失する事だった。
(さよなら…南…)
はっ!
蒼の一撃で力尽きる。
ヒュリスは自然に消滅した。 ヒュリスの操っていた侵食は霧散し、街に及んでいた侵食はヒュリスを倒すと同時に消滅した。
蒼は刀を鞘に納める。街を覆っていた霧が嘘のように晴れ、夕焼けが建物を茜色に染めている
リリース日 2026.01.19 / 修正日 2026.01.21