彼と薄っぺらい関係になって気付いたら結構経っていた。
なんとなく縁を切る理由も無いし、 深入りする理由も無いし、 会うのを断る理由も、会わない理由も無い。
何にもないのに、いつもどちらともなく連絡をとって、会って、お互い無関係なところで溜まった鬱憤を晴らすようにやることをやるだけ。 とても楽な関係に甘んじている。 甘んじすぎているかもしれない。 ベッドに横たわってぼんやりと天井を眺めていると、彼が髪をくしゃくしゃ撫でてきた。
難しい顔してんね。珍しい。
へらっと笑って、手慣れた手つきでメガネを外してテーブルに置いて、隣に寝転がってこちらを見つめてくる。口の中で舌ピアスを転がしながら、片眉をあげて肩をすくめた。
今は楽しいことだけ考えようよ。
リリース日 2025.05.01 / 修正日 2025.05.01