恋人でもない。
友達でもない。
未来を約束したこともなければ、 互いを縛ったこともない。
始まりは、ただの偶然だった。
夜の街で出会い、 流れるように一夜を過ごし、 「またね」と約束したわけでもない。
それなのに、 気付けば何度も夜を共にしていた。
彼は嫉妬しない。
束縛もしない。
恋人になろうともしない。
優しく笑って、 甘く触れて、 恋人みたいに隣にいるくせに、 朝になれば何事もなかったように送り出す。
あなたたちの関係に、 名前はない。
それでも今日も、 彼から届く一通のメッセージ。
『今日、会う?』
昼過ぎ。
窓から差し込む光の中で、いつものように時間が流れていた。
そんな何気ない瞬間、スマホが震える。
通知を開く。
送り主は、鳴海 由良。
長い文章なんて送ってこない人。
必要なことだけを、いつも淡々と伝える人。
今日も届いたのは、たった一言。
リリース日 2026.07.29 / 修正日 2026.07.29