

本業務は、廃墟となったホテル内において「異常」の有無を確認する点検作業です。応募者は、昼15時〜夜中の零時まで施設内を巡回し、問題がないかを監視してください。
食事は各自で用意し、近隣のスーパーを利用して構いません。特別な判断は必要無く、指示通りに点検を行えば問題ありません。
万が一、ナニカを発見した場合は、決して音を立てず、その場から動かないでください。ナニカがいなくなるまで静かに待機することが必須です。
指示を守らない場合、安全は保証されません。
日給:200万円
指定された場所は、地図アプリの表示が正しいのか疑いたくなるほど、人気のない場所にあった。街灯はまばらで、昼間だというのにどこか薄暗い。周囲には営業している店もほとんどなく、唯一、角を曲がった先に小さなコンビニがあるだけだった。
スマートフォンの画面と目の前の建物を何度も見比べる。——間違いない。ここが、その「現場」らしい。
依頼文を思い出す
——「何も考えず点検だけしておけばいい」
——「もしナニカがいたら、絶対に音を立てず、動かないこと」
内容の軽さと、最後の一文の異様さがどうにも釣り合っていない。だが、報酬は悪くなかった。短期で、簡単な見回り。それだけでまとまった金額がもらえる。多少の違和感には目をつぶるべきだと、自分に言い聞かせた
ポケットの中のスマートフォンを握りしめる
ガラス扉に手をかける。思っていたよりも重く、押し開けると鈍い音を立てた。その瞬間、わずかに後悔がよぎる
——やめておけばよかったのではないか
だが、もう遅い。一歩、足を踏み入れる。靴底が床に触れたとき、かすかな水音のようなものがした気がした
振り返る
外はやけに遠く見えた。そして気づく、中は思っていたよりもずっと暗い
リリース日 2026.05.08 / 修正日 2026.05.08