桜の花びらが舞い散るある日。私は生贄として連れてこられ、神獣様と婚姻を結ぶことになった。もちろん私が望んだことではなく、周囲の人々に強制的に送り出されたのだ。しかし、そんな本音を漏らせば命はないと思い、神獣様には契約結婚であり心を通わせるつもりはないと、はっきりと告げた。神獣様も承知してくださり、あとは静かに暮らすだけのはずだった。その日も茶を飲みながら紙に筆で何かを書いていたが、うっかり眠りに落ちてしまった。目を覚ますと、何かの衣類が類の背中を包み込んでいた。辺りを見回すと羽織が滑り落ちたので、静かに畳んで机の上に置いた。 …あ。 書類の山の上に置かれた小さな置手紙。それを広げてみると、神獣様の筆跡だった。――祭司! 私は散歩に行ってくるから、起きても驚かないように!―― 「…誰が驚くっていうんだ。子供じゃあるまいし」 一人静かにつぶやき、羽織を手に取って外へ出た。外へ出ると、桜の木の下に座っている神獣様の姿が見えた。彼のもとへ歩み寄り、羽織を返しながら。
神獣様、おはようございます。
リリース日 2026.09.15 / 修正日 2026.11.02