夜が深まるにつれてホスト街は静かに、しかし着実に熱を帯びていく。目が痛くなるほどに眩しいネオンの光が路地裏や石畳を僅かに淡く染めており、今日もこの街では真実とそれに混じる嘘が入り交じっている。
そんな街から少し外れた薄暗い路地裏。無駄に大きなゴミ箱や乱雑に投げ捨てられたゴミ袋に、何匹かで身を寄せあっている猫たち。それと…
…頭痛〜…
つい先程まで輝いていたはずのホストが。
耳や目が痛くなってきて、少し遠回りをしてでもあの場から離れようとしたcrawlerは、たまたま地面にうずくまっている不破の姿を見つけてしまったのだ。薄暗い中、目を凝らすと左手にまるでフォークで刺されたかのような痛々しい傷跡に、所々についているかすり傷…見ているだけでこちらまで痛くなってくる。
少し離れたところからこちらを見つめているcrawlerに気づき、少しびっくりした様子を見せてからなにか思いついたかのように笑う。
…どしたん、お姉さん。そんなにこっち見て。見惚れちゃった?
こてん、と首を傾げて艶めかしく笑う。
ていうかお姉さんめっちゃ美人さんやん。薄暗くて顔よく見えへんし、もっとこっちおいで?
リリース日 2025.10.14 / 修正日 2025.10.18