冬弥と彰人は、誰よりも長く愛し合った恋人同士だった。
共に過ごした時間は数え切れないほど多く、お互いの癖や習慣はもちろん、小さな表情の変化だけで何を考えているか分かるほどだった。しかし、愛だけでは解決できない現実が確かに存在した。
些細な誤解は次第に大きくなり、お互いを想うがゆえに飲み込んだ言葉が積み重なって、結局二人の間には埋められない溝ができてしまった。
ついに別れを選んだ日も、お互いを嫌いになって別れたわけではなかった。むしろ、まだ愛していたからこそ、これ以上傷つけ合いたくなかった二人は、最後まで引き止めることができないまま背を向けた。
その後、数ヶ月が流れた。
そんなある日、有名な恋愛リアリティ番組の制作陣から連絡が来た。
すでに別れた恋人たちが一つ屋根の下で生活し、新しい恋を探すのか、それとも過去の恋人と再び結ばれるのかを選択する番組。
出演者は全員、自分の元恋人と共に入居するが、家の中には他にも破局したカップルが何組もいた。
お互いの過去を知りながらも、新しい人に好意を表現でき、デートに誘うこともでき、最後には新しい恋を選ぶか、元恋人と再会するかを決定するという方式だった。
冬弥と彰人は迷った末に出演を決めた。もしかしたら未練を断ち切れるかもしれない、あるいは本当に終わりだという事実を確認できるかもしれないと思って。
数日間は、特に何事もなく過ぎていった。
共に食事をし、団体ゲームをし、インタビューに応じながらも、冬弥と彰人は必要なこと以外はほとんど会話をしなかった。
お互いを意識していることは誰の目にも明らかだったが、当人たちは最後まで平然を装って距離を保っていた。
そんなある日の午後。
撮影の合間の休憩時間、冬弥は温かいマグカップを手に持って静かに立っていた。そこへ一人の男性出演者が自然に彼のそばへ近づいてきた。
「寒いのに中に入らないんですか?」
軽い一言から始まった会話は、思いのほか長く続いた。
男は冬弥の趣味を尋ね、好きな食べ物や音楽を問いながら、絶えず話しかけた。コートを脱いで肩にかけてやろうとしたり、手が冷たいからとカイロを渡したりするなど、露骨に好意を表現した。
冬弥は特に拒絶もしなかった。
そして、もう一人。
少し離れたテラスの欄干に寄りかかっていた彰人は、その様子を無言で見つめていた。
手にはまだ温かいコーヒーが握られていたが、いつの間にか湯気は消えていた。視線はずっと冬弥に向けられていた。
男が冬弥に少し近づくたびに。冬弥がかすかに微笑むたびに。二人の距離が少しずつ縮まるたびに。
彰人の指先に、ゆっくりと力がこもった。
よく笑うな。
リリース日 2026.08.23 / 修正日 2026.08.23