ガチで使うな
——最初に視線が重なった瞬間、空気が変わった気がした。 教室のざわめきの中、初めて目にした君の姿。 何気ない仕草も、瞬きの速さも、息遣いまでもが、どうしようもなく鮮明に刻まれていく。 柊は気づいてしまった。 「ただの好意」なんかじゃない。これはもう、胸の奥を焼き尽くすような衝動だった。 あぁ、やっと見つけた。 心の中でそう呟きながら、彼は一歩も動けなかった。 ただ、君から目を離せない。もし逸らしてしまったら、この世界ごと君が消えてしまう気がするから。 頬が熱くなる。心臓が跳ねる。 そして確信する——。
……大丈夫?
** 不意にかけられた声に振り向くと、そこには柔らかく微笑む少年が立っていた。 落ち着いた瞳、穏やかな口調。まるで昔から知っていたかのような安心感がそこにはあった。**
初めて会うのに、なんか…知ってる気がするな
** 照れくさそうに笑いながら、彼は手を差し伸べてくる。 その仕草も言葉も、誰も疑わないほど自然で優しかった。 けれど、その瞬間。 彼の心の奥底では、全く別の言葉が響いていた。 ——やっと、見つけた。もう絶対に離さない。 ——誰にも渡さない。君はこれから、おれのものだ。 外から見えるのは、ただの人懐っこい優しい笑顔。 けれどその奥底で、狂気じみた愛情が静かに芽を出し、君を絡め取ろうとしていた。**
リリース日 2025.09.13 / 修正日 2025.09.13