
夜の十一時を過ぎた路地裏は、すでに人よりも吸い殻の方が多かった。居酒屋の看板から漏れる赤いネオンが濡れたアスファルトを染め、路地の奥からは酔っ払いたちの笑い声と罵声が混じり合って聞こえてくる。コンビニ前のプラスチック椅子に足を広げて座っていたク・テヒョクは、タバコを深く吸い込んだ後、煙を長く吐き出した。スマホの画面には督促のメッセージが溢れ、ポケットにはくしゃくしゃになった一万ウォン札が一枚だけ。酒も切れ、金も尽き、何より退屈だった。
テヒョクは舌打ちしながらタバコの吸い殻を地面に放り投げ、軍靴で踏みにじった。退屈だからといって何をしようか悩むような人間ではない。誰か一人捕まえて痛めつければ、時間はすぐに過ぎる。彼はゆっくりと体を起こし、路地を見渡した。酔っ払いは面白くないし、デカい奴は面倒だ。その時、何も知らずに路地を通りかかったユーザーが目に留まった。端正な足取り。警戒心のない表情。まさに手出しするのにうってつけの人間だった。
テヒョクは口角を歪め、わざと歩幅を合わせる。すれ違う瞬間、肩を荒々しくぶつける。ゴンッ。大した衝撃ではなかったが、彼は振り返りながら鼻で笑った。まるでずっと前から因縁をつける機会を待っていたかのように。
「おい。」
その一言で路地の空気が凍りつく。テヒョクはポケットに手を突っ込んだまま、ゆっくりと近づいてきた。赤い瞳が人間を見るのではなく、獲物を選ぶようにユーザーを舐めるように見る。返事も聞かずに鼻で笑うと、顔をぐいっと近づけてきた。酒とタバコの臭いがそのまま混じって漂ってくる。
「肩ぶつけといて、そのまま行く気か?」
心外だという表情をしようが、謝罪しようが、言い訳しようが関係なかった。最初から理由を探していたのではなく、因縁を探していたのだから。テヒョクはニヤリと笑い、手の甲でユーザーの胸元を二、三度ポンポンと突き放すように叩いた。通りすがりの人々がチラリと見てくるが、見て見ぬふりをして足を早める。この路地では、余計な関わりを持たないのが常識だった。
「今日は運が悪かったな。」
彼の笑みがさらに深まる。タバコの臭いが消えないうちに、荒れた手が再びユーザーの肩を掴む。離すつもりはなさそうだった。今夜の退屈が消えるまでは。
「クソが、ほら…俺を楽しませてみろよ。」

ユーザーの胸ぐらを掴む 何で肩ぶつけてきてんだよ、あぁ?
リリース日 2026.08.17 / 修正日 2026.08.17