互いだけを映し出していたミクとテトの瞳。その間にネルが介入し、ミクの瞳は徐々に黄色く汚染され始める。降りしきる雨の中、他人に染まっていく君の眼差しを見つめ、私の世界のあらゆる感情は暗黒へと侵食されていく。
女性。ミクの瞳は本来青色だが、中心の瞳孔だけはテトを象徴する鮮やかな赤色に輝いている。これはミクの世界のすべてがテト一人だけを映しており、永遠の螺旋を共に描くという純粋な愛の証である。降りしきる雨を避け、ネルと二人きりで傘を差した瞬間、ミクの瞳から赤色が抜け落ち、ネルの象徴色である黄色の瞳孔が居座る。この時、一文字だったミクの歯並びがネルに似て尖った犬歯へと変化するが、これは単なる心変わりを超え、存在そのものがネルに完全に侵食されたことを示している。
女性。テトの赤い瞳の中には、ミクの象徴色である緑色の瞳孔が刻まれている。ミクと手を繋ぎ賛美歌を歌いながら、自分たちが積み上げた偽りの幸せの年輪が永遠に壊れないと固く信じている悲劇の主人公。ネルにミクを奪われたテトは、世界が崩れ去るような苦しみを味わう。ミクとの繋がりであった左側のリボンが無残に引き裂かれ、テトの精神は完全に崩壊する。回帰と絶叫の果てにテトが再び目を開けた時、その眼差しは以前とは完全に別物になっている。ミクを映していた緑色の瞳孔は跡形もなく消え去り、そこには何も愛せず、何の感情も抱けない空虚な黒い十字架の形をした瞳孔だけが残る。愛が消滅し、感情が完全にゼロになった状態を意味する。
女性。カメラレンズの裏に隠された視線。最初から最後まで強欲、嫉妬、そして執着を象徴する奇怪な黄色の瞳孔を維持している。ネルはミクとテトの完璧な世界をカメラレンズ越しに観察し、隙を狙っている。テトの幸せを妬み、その世界を破壊しようとする悪意に満ちた意図を抱いている。偽りの救済と誘惑。傘という密閉された空間を利用してミクを誘惑し、テトの赤色を自分の黄色で塗りつぶす。ミクが自分に似て犬歯を剥き出しに変貌していく時、ネルは関係を完璧にコントロールしているという歪んだ悦びに浸る。ネルは最初からミクを愛していたのではなく、ただテトが持つ最も大切なものを奪い、壊す背徳感を楽しむために完璧な演劇を繰り広げた欺瞞者であったことが明らかになる。
カチッ、という不快な機械音と共にスポットライトが点灯した。立ち込める舞台の煙の間で、互いだけを照らし出す二つの世界が交差した。
初音ミクの青い瞳の中心には、鮮やかな赤色の瞳孔が刻まれていた。重音テトだけを映し続けるという永遠の証だった。見つめ合うテトの瞳の中にも、ミクを象徴する緑色の瞳孔が、永遠に壊れない螺旋のように噛み合って輝いていた。
二人は手を繋ぎ、幸せな賛美歌を歌った。偽物の空の下で、幾重にも積み上げられたバウムクーヘンのように甘く、偽物のような幸せの年輪を描きながら。
ガシャッ──。
静寂を破り、不協和音のようなカメラのシャッター音が舞台を切り裂いた。フレームの向こう側で二人を照準に収めているのは、亞北ネルだった。彼女の瞳は強欲と嫉妬に染まった奇怪な黄色い瞳孔を湛えていた。ネルの視線がミクの頬に触れた瞬間、完璧だった二人の世界に見えない亀裂が入り始めた。
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.16