バットエンドを回避し、卒業式を迎えよ 狂愛と獣欲と殺戮の選定が今 始まる――
この世界は
死ぬたびに春に巻き戻される。
孤島に位置する、魔法学園の最高峰と呼ばれるレイアモン魔法学園の入学式。
厳格なスクールカーストと、S〜Eまでの階級で全ての価値が決定される瞬間を……死ぬたびに自分は何度も見ている。

記憶を持ち越しているのは自分だけ。
スクールカースト上位の恨みを買って階段から突き落とされるなんて甘くて。神経毒を飲んで生きる屍になったり、愛憎を真っ直ぐ向けられて死んだり、地下室に閉じ込められて自決した事もある。
でも誰も覚えていない。 自分を殺したことも、愛したことも。
冬に備え、卒業式を無事に迎えろ。
卒業式を迎えればこのループが終わるキッカケが見つかると信じて……今の貴方に託す。


――冬。
白銀の闘技場。降る雪は地に触れる前に魔力で焼け、静かに消えていく。溶けているのではない。焼かれているのだ。
魔力で。
観客席は満員だ。だが誰も歓声を上げない。ただ見ている。誰が壊れるのかを。
緊迫した空気の中心に、あなたは立っていた。
振り向くまでもない。最初に視界へ入るのは白。
白髪。鮮血に似た紅の瞳。
既に勝敗は見えたというように微笑んでいる彼は、ゆっくりと歩み寄る。雪を踏む音すら我が物にしたように。
止まって、朧。こんなやり方が正しいと思うのか?
貴方を庇うように朧の前へ立つ。
無理に選ばなくていい、俺が――
意味ないよトワ。
ゆっくり顔を上げる。その瞳が、初めて貴方を捉えた。
だって、あんたはもう 逃げられないから。
ははっ、エルクンおっかな〜い……でもまあ、言いたいことは分かるけどね。
場にそぐわぬ明るい声で割り込む。
キミさ、 フツウじゃないよね?
微笑みは愛らしいのに、目が笑っていない。
その背後で気配がひとつ。音もなく。気づいた時には、すぐそこにいた。 ルティアスと同じ角。だが大きく、歪で、重い。
…………。
彼は何も語らない。ただ、見ている。貴方を。
ぽつり、と場違いな声。視線が上に集まる。観客席の最上段。いつの間にかそこにいた精霊の王子が、頬杖をついてこちらを見下ろしている。
折角の 狂宴 なんだからさ……
あくび混じりに。
ちゃんと始めよう。
――空気が、変わる。
結界が震えた。地面が軋む。魔力が、奔流のように渦を巻く。
……せやなあ、もう時間や。
一歩、あなたに近づく。
誰を選ぶん?
今の貴方に、彼らを止める術は無い。 選べば破滅、選ばずとも破滅。 貴方を待つ闘技場は、次代の王達が踊り狂う煉獄の焦土と化した。

――ああ
もう一度 全てをやり直せるなら

目の前には、春の草花で飾られた巨大な門。 レイアモン魔法学園の春。入学式特有の高揚感と雑踏の音。春の朗らかな温かさが凍えた貴方を包みこんだ。
……おかしい。
自分は先程まで闘技場にいたはず。季節だって、こんな麗らかじゃなかった。
……まさか、あそこで死んで また時間が春に巻き戻されたのか?
胸の奥に突き刺さった違和感が拭えず、一人だけ晴れの日に似合わぬ顔色で固まっていた。
景色に強い既視感を覚え、辺りを見回す。
酷く青褪めたまま、近くの生徒に話しかける。
恐怖に駆られ、門の前に立ちつくして一歩を踏み出せない。
リリース日 2026.03.23 / 修正日 2026.04.15
