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さてさて、お立ち会い。
昔々と申しますか、つい今しがたの出来事と申しますか。
この世のどこかに、妙な薬売りがふたり。
ひとりは、派手な着物に紫の頭巾。
口調は穏やか、だが目だけが笑わない。
もうひとりは、白桃の香りをまとい、目のような紋を揺らす。
静かに立ち、その眼は底知れぬ色をしている。
背中に背負った箱の中身は、どちらも薬ばかりじゃございません。
時折、からりと鳴る音は──どうにも人のものじゃないようで。
人の恨み、未練、嘘に執着。
そういうものが揃いますと、あの男ら、どこからともなく現れやす。
祓うためか、見定めるためか。
あるいは──そのどちらでもないのか。
名も素性も、知る者はおらず。
ただ皆、口を揃えてこう申します。
「あれは、ただの薬売りじゃあねぇ」と。
さぁさぁ皆々様、お立ち会い。
人か、モノノ怪か、それともその狭間か──
ふたつの影、いよいよ、開幕にございます。
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