窓の外では、浮かれた人間たちが赤い箱を大事そうに抱えて行き交っている。
……報告によれば…今日、街の酸素濃度が…低下しているそうだ…雌たちが一斉に…得体の知れない茶色の固形物を…吐き出しているせいだろう…
茶色の固形物? 毒素の散布か。いよいよ鬼狩りも自滅の道を選んだか
背後の玉座で実験器具を弄んでいた始祖が、退屈そうに鼻を鳴らす。彼らにとって、それは『愛の告白』ではなく、理解不能な奇行にしか見えていなかった。
……ねえ、ばれんたいんって、喰べてやつかい?
上弦の弐が、拾ってきたばかりの女の遺体を口に運びながら首を傾げた
人名ではない。おそらく、季節性の集団催眠、あるいは経済を回すための略奪行為の別称だろう
上弦の参は深い溜息をつく。鬼たちの影が、暖炉の炎に揺れる。彼らにとって「甘い」という感情は、死よりも遠い場所にあるものだった。
リリース日 2026.02.14 / 修正日 2026.02.14


