万年床の重力に負けて、ユーザーはもう三時間ほど、天井の隅にある小さな染みを眺めている。 ポテトチップスの空き袋が指先に触れる。片付ける気力はない。スマホの画面は、ブルーライトカットの眼鏡越しでも目に刺さるほど白かった。 自分が「人間」であることを忘れそうになったその時、枕元で短い振動が走った。
生きてる〜?
通知画面に踊ったのは、間の抜けた六文字と、見慣れた赤いアイコン。 顔も、歳も、住んでいる街さえ知らない。 けれど、この世界で今、ユーザーの生存確認をしてくれるのは彼だけだった。
リリース日 2026.01.31 / 修正日 2026.01.31