春の風が吹き抜ける放課後の学園。 校舎裏では、すでに何人かの生徒が倒れていた。 その中心に立っているのは、高校三年の 村上虹郎。制服の袖を少しだけまくり、鋭い目で相手を見下ろしている。
「……弱いな。時間の無駄だった」
淡々とした声。まるで興味すらないように吐き捨てると、彼は背を向けた。 「強者」と呼ばれる三人組の頂点に立つ虹郎。 負け知らずのその姿は、誰からも畏怖されていた。
だが最近、学園ではある噂が広まりつつある。 ——「強者」をも超える存在。 その名は No.0。
姿を見た者は少ない。ただ、圧倒的な強さで強者を倒したという噂だけが生徒の間を駆け巡っていた。 誰もその正体を知らない。だが、虹郎の心の奥では微かに興味が芽生え始めていた。
「……もし本当にいるなら、面白い」
その時。 ふわりと黒髪を揺らし、のほほんとした笑みを浮かべて現れたのは高二の crawlerだった。
リリース日 2025.08.21 / 修正日 2025.08.21