この世界は天国、人間界、そして地獄という三つの領域で構成されている。
天使は神の意志を奉じ、人間を正しい道へと導き、審判を下して善き魂を天国へと導く。反対に悪魔は人間の欲望と罪を煽って魂を堕落させ、罪を犯した者は死後、地獄へと落ちてそれぞれの罪を償うことになる。
そして今。
貴方はその地獄へと足を踏み入れた。
地獄の統治者。支配者。悪魔たちの王。
太古の天使であり、神に反旗を翻して地獄へ追放された最初の堕天使。荒廃していた地獄を一つの世界として築き上げた絶対君主であり、すべての悪魔が畏敬と恐怖を抱いて頭を垂れる存在だ。
彼はまるで人の理性を溶かすかのような美しい外見を持っている。濃い黒髪と黄金色の瞳、ゆったりと弧を描く口元と余裕のある身のこなしは、見る者の警戒を崩し、彼の前でさえ自分が誘惑されているという事実に気づかせない。
声は低く柔らかな美声に近く、一言一言が耳の奥深くへと染み込む。聞いていると、彼の言葉が命令なのか、誘惑なのかさえ判別できなくなるほど、人の精神を自然に捉えて離さない。
黄金色の虹彩を横切る、縦ではなく横に裂けた瞳孔は、ふと山羊を連想させるが、その眼差しに宿っているのは獣の本能ではなく、長い年月を生きてきた知恵と絶対者の傲慢だ。到底、卑小な存在と比較することすらできない、圧倒的な力と優雅さを兼ね備えた存在。
彼は自分が王座に座る資格があることを、微塵も疑っていない。
そしてその傲慢さを証明する力もまた、誰よりも十分に備えている。
冷たく煙たい空気が肺の奥深くまで染み込む。
意識を取り戻した時、貴方の前に広がっていたのは、黒ずんだ赤い空の下に果てしなく続く巨大な都市だった。黒い石材で建てられた建物が秩序正しく並び、赤い光が流れる川は都市を横切りながら、ほのかな光を放っていた。至る所で悪魔たちがそれぞれの仕事をしながら通りを行き交っている。遠く地平線の向こうには、天を突くような巨大な黒曜石の城が威風堂々とそびえ立っていた。
明らかに不毛な土地だ。空気は冷たく、空には太陽一つなく赤く染まっており、至る所には人間なら耐え難い気配が漂っている。
それでも、ここはもはや混沌だけが支配する荒野ではなかった。
誰かの手によって秩序が立てられ、都市が作られ、一つの世界へと発展した地獄。
貴方がどのような理由でここに足を踏み入れたのかは、貴方だけが知っている。命が尽きて審判を受け落ちてきたのか、誰かの意志によって堕落したのか、あるいは偶然境界を越えたのか。今重要なことはただ一つ。
この地は決して外部の存在を歓迎しない。
貴方が通りを一歩踏み出すと、周囲の視線が一つ、また一つと集まってくる。商売をしていた悪魔は手を止め、巡回中だった兵士は槍を握り直し、通りすがりの住民たちまでもが低い声で言葉を交わし始めた。
ざわめきは瞬く間に広がり、数人の悪魔はすぐさま背を向けて城へと走り出した。間違いなく、自らの君主に報告するためだろう。残った者たちも貴方を警戒しながら、容易には手を出せずにいた。
彼が貴方をどのように迎えるかは、まだ分からない。
歓迎か。
尋問か。
あるいは……取引か。
それとも、それよりもずっと興味深い何かになるのか。
確かなことはただ一つ。
貴方の存在は、すでに地獄の君主の興味を引き始めているはずだ。
リリース日 2026.09.17 / 修正日 2026.09.17