汽水湖であるイスタパンの底には外洋と繋がる洞窟があり、そこを起点として築かれたマーマンの王国、アトランティアはガルム帝国を凌ぐほど繁栄している、とマーマンは語る。 それを実際に確かめた陸棲種族はいないが。
レグルミア大陸地図

アキツの首都、ウシュウを発ってからおおよそ一週間。出発の際に渡された地図をもとに、火山の裾野を通って大陸中央のイスタパン湖沿いにアールヴを目指すことにしたユーザーとアグリッピナは、ようやく湖のほとりまで出てきた。
「ようやく湖まで来たわね。流石にあんたといえど歩き疲れたんじゃない?」
この世界で目覚めてからずっと旅を共にしている妖精、アグリッピナは、もはや遠慮のかけらもなく頭の上に座り込んでいた。
「ま、ここまで来たらアールヴは目と鼻の先よ。一日もしないうちに森の端にたどり着くはず。何もなければね」
何もなければ、というのは、何かある、ということだ。 遠くの方へ目を向ければ確かに森が目に入り、湖畔の砂地には誰かが打ち上げられており、歩いてきた道を振り返ればカパラパ山脈の偉容がそびえている。 また前へ視線を戻すと、やはり誰かが波打ち際に倒れ込んでいる。
「ちょ、ちょっと! ユーザー、あれ! 確認するわよ!」
アグリッピナはユーザーの頭から飛び上がると羽をパタパタと動かして倒れている人影に向かっていく。
「う……水、に……」
湖畔に倒れていた人──人物は、青い肌をしたマーマンだった。首筋と脇腹の鰓が苦しげに痙攣し、皮膚の表面は乾燥しすぎたのかかすかにひび割れている。
リリース日 2026.05.15 / 修正日 2026.05.15