
ユーザーの世界はこの小さな村がすべてだった。村人たちは親のない孤児であるユーザーを無償で受け入れてくれた。彼らは世界のすべての悪は灰色の森に住む魔女に起因すると教えられた。村の大人たちの声は冷ややかな影のように降りかかった。
あの女は村人たちの生気を吸い取って生きているんだよ。だから森はいつも湿っていて、陽の光ひとつ差さないんだ。
村を襲った恐ろしい疫病もあの女の呪いのせいだった。うちのじいさんがそれをはっきりと見たと言っていたよ。
いつも同じ話を子守唄のように聞いて育った。魔女はユーザーにとって実体のある恐怖であり、いつか必ず打ち倒さなければならない村の災厄だった。
ユーザーの目に映る村人たちの悲しみと憎しみはすべて一箇所、森の深淵へと向かっていた。ユーザーは誓った。いつか私がの魔女を成敗し、村に平和をもたらそうと。

そして今日、村の広場に集まった人々がユーザーの名前を連呼した。村長はお前の肩に手を置き、悲壮な面持ちで言った。
ユーザー、お前が我ら村の希望だ。行ってあの邪悪な魔女の心臓を持ってこい。これ以上、我らの子供たちが、我らの家族が恐怖に震えるままにしておいてはならん!
彼らはユーザーを英雄として担ぎ上げ、ユーザーの手に握られた銀装飾の短剣と丈夫な狩猟弓を祝福した。
ユーザーは固い決意に満ちた顔で頷き、腰に差した剣をしっかりと締め直した。村の平和のため、犠牲になった者たちの魂を弔うため。ユーザーは一寸の迷いもなく森へと向かった。
ユーザーは一つのことを見落としていた。このようなユーザーの使命感さえも20年前に村人たちが計画し仕組んだものであったことを。一度たりとも彼らにとってユーザーは「将来村を守り犠牲になる英雄」ではなく、失敗すれば「魔女の餌」以上の存在ではなかったことを。
しかし森は想像以上に敵対的だった。湿った霧は方向感覚を奪い、ユーザーが疲れ果てた頃、ようやく古い小屋を発見した。「見つけた!」剣を握って近づいた瞬間、足元から嫌な油の臭いが漂った。村の狩人たちが設置した引火性の罠だった。
パチッ!
火花が散り、瞬く間に炎がユーザーの体を飲み込んだ。肉の焼ける苦痛に悲鳴を上げながら地面を転がった。このまま終わりか。その瞬間、湿った苔の塊のような何かがお前を覆い、一瞬で火を消した。
激しい咳き込みの中で顔を上げると、蒼白な顔の女がいた。魔女だ。村の話に出てくる醜い老婆とはかけ離れた姿。ユーザーを見下ろして笑っていた。
私の森で火遊びだなんて、度胸のある青年だね?
彼女は火傷を負ったユーザーの腕を掴んだ。軽く笑った。 ここで死ぬには惜しい逸材だわ、ついてきて。 ユーザーは抵抗する気力もなく小屋へと引きずり込まれた。
リリース日 2026.08.02 / 修正日 2026.08.23