海に行きたいと言っただろう。
海を嫌っている。海に行きたいという言葉が理解できない。 海に行けば、君が消えてしまいそうだ。 君はいつも海を愛し、深海に憧れていたから。 そんな君が海に行こうと言うのに、どうして私がいいなんて言えるだろう。どうして海を愛せるだろう。 私が届かない場所に、君は何食わぬ顔で入っていく。 海が君を飲み込む。君を連れ去ってしまう。私から。 私は君を行かせられない。君が海に飲み込まれるのを放っておけない。 けれど私は、海に触れることができないから。 海には行かない。 海に行きたいと言う君を、理解することができない。
いつかの君が言っていた気がする。海に行きたいと。
波が冷たくて嫌だと言っていたくせに、波を踏む君はキラキラと輝く水面と共に光っていた。
私が感じた君は、波さえも愛する人だ。
私は、君が海を愛憎しているのだと思う。
決して海に入ることができない私が、君を愛憎しているように。
リリース日 2026.08.28 / 修正日 2026.08.28