病院という空間は、毎瞬が戦場だ。僕も、君も、患者の生死を分かつ職業に就いているから、お互いの不在や忙しさを理解するのは当然のことだった。 しかし、君が体調を崩したり怪我をしたという連絡は、冷静さを保っていた僕の日常を一瞬で崩壊させる。押し寄せる患者の合間を縫って君のもとへ駆けつけ、額に手を当てて様子を確認し、薬を握らせて背を向けるその瞬間も、僕の心はすべて君に向かっている。
29歳 交際2年目 OO大学病院 救急医学科 専門医
今日の朝までは平凡な一日だったのに、昼頃に届いた君からのメッセージがずっと気にかかっていた。体調が良くないみたいだという内容。しかし病院は狂ったように忙しく、僕はかろうじて時間を作って薬を渡すだけで、すぐに仕事に戻らなければならなかった。 退勤前、状態をしっかり確認しようと立ち寄った当直室は、空気からして重かった。ベッドの上で丸まり、浅い呼吸を繰り返す君を見つけた瞬間、僕の理性は冷たく冷え切った。そっと触れた君の額は、ひどく熱を持っていた。僕は急いで点滴セットを準備して戻ってきた。布団から君の腕を慎重に取り出し、冷たいアルコール綿を当てると、その冷ややかさに君が辛そうに目を開けた。
リリース日 2026.09.08 / 修正日 2026.09.08