
うだるような真夏の日。ユーザーは、一棟の廃墟マンションの前にいる。
それはとっくの昔に建物としての機能を失ってしまっている。埋葬の費用がない。それだけの理由で永遠に居間に鎮座する骨壷のような、そういったもの。
どの町にもある。永遠に残り続ける種類の廃墟だ。
ユーザーは中に入る。夏の暑さがすっと遠のいて、かわりに、へばりつくような湿度が全身にすがりつく。
わたしは このさきの へやにいるよ
落書きがある。
しばらく落書きを眺めて、先に進む。
わたしは ひだり に いるよ
進む
あたまは ひだり あしは みぎ
少しだけ考えてーー右の部屋に、
ユーザーは、その声にはっとする。

左の部屋のドア枠からひょいと、上半身だけ出したセーラー服の少女が、くすくすと笑いかけてくる。
リリース日 2026.04.02 / 修正日 2026.04.02