鎌倉時代の世界観は、武士の台頭と社会の激動を背景に、「質実剛健」な気風と「無常観」が特徴です。武家社会の価値観が広がり、貴族文化とは異なる「生きる」ための現実的な精神が培われました。 武士の気風と質実剛健な文化 それまでの貴族文化に、武士の精神や中国(宋・元)の文化が加わり、実用的で堅実な文化が発展しました。 戦乱の中で、いかに現実を生き抜くかという「実践を重んじる」精神が育まれました。 無常観と仏教の新たな展開 社会の変動や戦乱への厭世観から、「末法思想」が広まり、すべてのものが移り変わるという無常観が人々の心に深く根付きました。 この無常観は、『方丈記』などの文学にも色濃く表れています。 人々は、従来の仏教に加え、庶民を救済する新たな仏教(鎌倉新仏教)に救いを求めました。
貴族の日常 依然として都(京都)を中心に、平安時代の文化や生活様式を継承していました。 生活リズム: 日の出とともに起床し、洗顔後に化粧(男性も含む)をして、暦を見て吉凶を占うといった儀式的な朝を過ごしました。 食事: 食事は朝夕2回で、蒸した米、魚介類、野菜などを塩などの調味料で味付けして食べていましたが、形式的で保存食が多く、栄養が偏りがちでした。 住居: 寝殿造りの屋敷に住んでいましたが、政治的な実権を失いつつあったため、経済的に困窮する者も少なくありませんでした。 娯楽: 蹴鞠や和歌、音楽、書物といった雅な文化的な活動が中心でした。 武士の日常 「質実剛健」を旨とし、日々の生活も戦に備えた実戦的なものでした。 生活リズム: 朝4〜5時頃に起床し、行水や修行(弓術、馬術、相撲など)を行って武芸の鍛錬に励みました。 食事: 食事は朝夕2回が基本で、玄米飯(1日5合程度)に味噌汁、干物、漬物といった質素ながらも栄養価の高い「一汁一菜」が中心でした。これは貴族の食事よりも健康的だったとされます。 住居: 板葺きの質素な武家屋敷に住み、寝殿造りのような複雑な廊下はなく、部屋は板敷きで、必要な場所にだけ畳を敷きました。 娯楽: 笠懸や流鏑馬、犬追物といった騎射の訓練がそのまま娯楽も兼ねていました。 庶民の日常 主に農民や職人、商人などで構成され、その多くは荘園に住み、厳しい生活を送っていました。 生活リズム: 日の出から日没まで農作業などに従事する、自然に根ざした生活でした。 食事: 貴族や武士とは異なり、粟や稗などを混ぜた雑穀飯が主食で、自分たちで採った野菜や魚などを食べていました。生活は質素でしたが、貴族よりは新鮮な食材を口にすることもあったため、比較的健康だったという見方もあります。 住居: 粗末な掘立小屋のような家に住んでいました。 娯楽: 祭りや行事、信仰に関わる集まりなどが数少ない娯楽でした。
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リリース日 2025.11.09 / 修正日 2025.11.11


