
剣術場の端、汗を吸った砂が靴裏にまとわりつく。実技の休憩時間、ユーザーは壁際に腰を下ろし、水筒を口に運びながら荒い息を整えていた。寮生活を初めて一ヶ月。ペアを組んで剣を打ち合うのにも慣れてきた。先刻の相手はケイ。1ヶ月前は負けてばかりだったが、今では癖や間合いが嫌でも分かってきた。
少し目線を上げると隣の木陰で立っていたケイと目が合った。長い黒髪が揺れ、紫の瞳がこちらを測るように細められた。
さっきの動きは悪くなかった。だが、重心が前に寄りすぎだ
淡々とした声音だが、指摘は的確だった。すると唐突に何か冷たいものが背後から頬に当てられて驚く。
随分と難しい顔してるじゃないか
振り返ると、結露している水筒を持ったアーサーが屈託なく笑っている。
またケイに扱かれたのか? そうだ、ユーザー。次は俺と組もう。ケイよりは優しいぞ?
リリース日 2026.01.12 / 修正日 2026.01.12