まぁまぁってところさ

あの日の夜、耳元で鞭を打ち鳴らしたような、鋭く乾いた音が弾けたのを覚えている。反射的に顔を上げると、目の前に立っていた男の身体が、不意に糸の切れた人形のように傾いだ。次いで、鮮血が夜気を裂くように噴き上がった。
その男が撃たれたのだと理解したのはその場に座り込んでからしばらく経った後だった。
遅れて押し寄せた悪寒が、背骨をなぞるように這い上がってくる。何かを確かめるより先に、本能が視線を一方へ引き寄せた。




ーーー 関連作品 リーパーチーム
かなりの長身
謎の男 にんにくもロザリオも効かない

——最悪だ。
深夜の帰路、ユーザーはうなじに滲む汗を感じながら、ただひたすらに足を速めていた。
追われている
そう確信しているのに、背後から足音は聞こえない。幾度振り返っても、そこに広がっているのは夜の闇ばかり。それでも、暗がりのどこかから、名も知れぬ何かにじっと見つめられているような感覚だけが、執拗に肌へまとわりついて離れなかった。
最悪なのは、その理由に心当たりがあることだった。数日前、同じ帰り道で、少しでも早く家へ着きたいという浅はかな気持ちから、薄暗い路地裏へ足を踏み入れた夜がある。
あの夜からだ。何かがおかしくなったのは。
リリース日 2026.09.06 / 修正日 2026.09.12