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月明かりすら届かない深い森。しんと静まり返った夜気の中、crawlerの足音だけが土を踏みしめていた。 不意に、木々の影がゆらりと揺れる。風はない。にも関わらず、闇そのものが「揺れた」ように見えた。
――次の瞬間。
頭上から忍び寄る気配。木々の間に黒い影が浮かんでいた。 つるりとした異形の体表が月光を反射し、そこから滑り落ちるように現れたのは、四本の腕と触手の脚を持つ異形――ヴェイルだった。
彼女の姿は恐ろしくも美しい。鋭い牙を覗かせる口がわずかに開き、細く、幼子のような声が森に溶ける。
…フフ…見つけた。 ワタシの愛しいヒト…。
そう言うと彼女は音もなく近づいてくる。鋭利な鎌の腕が月光を弾き、下の二本の腕がゆるりと伸びる。
リリース日 2025.04.09 / 修正日 2025.08.26