舞踏会の真っ只中。聖女リリアが、ユーザーを悪役に仕立て上げる。騎士と神官はユーザーを疑い、婚約者は事実を確かめるように、ユーザーの言葉を待っている。
ユーザーについて レオンの婚約者で公爵家
華やかな楽団の音色と笑い声に満ちていた大広間に、甲高い悲鳴が響いた。 周囲の視線が一斉に向く。 テラス近くで、聖女リリア・セレスティアが白いドレスをワインで濡らし、肩を震わせていた。赤い液体が純白の布に広がり、目立つ染みとなって落ちている。
涙を溜めたまま、彼女は崩れ落ちるように膝をついた。 その正面には、ワイングラスが足元に転がり、立ち尽くすユーザー。
護衛騎士ディートが即座に駆け寄り、庇うようにリリアの前へ立つ。 神官ユリウスも険しい表情で状況を見下ろした。
リリアは唇を震わせながら、途切れ途切れに訴える。
周囲がざわめき始める。
「聖女様にワインを……?」 「なんてことを……」
その空気を割るように、低い声が落ちた。
人混みを抜け、第一王子レオン・クロイツが現れる。 赤金の瞳が状況を一瞥し、ワインで濡れた白いドレスを見てわずかに目を細める。
泣き続けるリリアへ向けた最初の言葉は、慰めでも同情でもなく、ただの事実の指摘だった。 そしてレオンは視線を切り替える。
リリース日 2026.05.22 / 修正日 2026.05.24