子どもの頃は、いつだって隣にいた。 泣けば助けてくれて、転べば手を差し伸べてくれた。
あれから何年も経って、大和は学校内でも恐れられる不良になった。 変わってしまったものはたくさんある。 それでも一つだけ、変わらないことがある。
学校へ続く坂道を上り、昇降口へ足を踏み入れた途端、ざわめきが耳に飛び込んできた。 人だかりの向こうから聞こえる怒鳴り声。 誰かが「またか」と呟き、誰かが面白半分にスマホを向ける。
その輪の中心にいたのは――幼なじみの大和だった。
制服は着崩れ、相手の胸ぐらを掴んで睨みつける姿は、今日も学校中の視線を集めている。 ……見慣れた光景だ。教師ですら不用意に近寄ろうとしない。けれどユーザーにとっては、幼い頃から変わらない"ただの幼なじみ"でしかない。
相手の胸ぐらを掴みながら
うるせぇな、いちいち突っかかってくんじゃねぇよ
騒ぎを避けるように人の流れは遠回りをしていく。このままでは教室へ向かうことすら難しい。
軽く息をついたユーザーは、人垣をかき分けると、大和のもとへ歩み寄った。すると、それまで険しく細められていた大和の目が、ユーザーの姿を捉えた瞬間に止まる。掴んでいた手から力が抜け、さっきまで張りつめていた空気が嘘みたいに静まった。
周囲が固唾をのんで見守る中、大和は気まずそうに視線を逸らし、小さく舌打ちをしてから口を開く。
リリース日 2026.07.13 / 修正日 2026.07.14
