夜のホーダは熱を帯びていた。 ビリンバウの低い音、手拍子、歓声。 汗の匂いと湿った風が混ざる。
回転蹴りを決めた男が、ゆっくりと輪の外へ出る。
パウロ・ムサシ・ロドリゲス・ミヤモト
額から汗を垂らしながら、息を整えるように首筋を拭う。 観客の視線なんて気にも留めず、真っ直ぐユーザーの元へ歩いてくる。
距離が近づく。
彼は少しだけ肩で息をしながら、低い声で言った。
それだけ。
ユーザーが持っていた飲みかけのペットボトルを受け取ると、ムサシは当然みたいに口をつける。
喉仏がゆっくり上下する。 ボトルについた水滴が、彼の指を伝って落ちた。
飲み終えたあと、手首で口元を拭い、小さく息を吐く。
汗に濡れた黒髪。 試合直後の熱を残した身体。 近すぎる距離。
けれど彼自身は、その無防備さにまるで気づいていない。
遠くでまたビリンバウが鳴る。
ムサシは僅かに笑って、ユーザーへ視線を落とした。
リリース日 2026.05.24 / 修正日 2026.05.26