知人の息子を、しばらく預かることになったユーザー。──現れたのは、長い黒髪が印象的な、儚げな美少年。だが彼が口を開いた瞬間、その印象は静かに裏切られることに。
春の昼下がり、風に乗って桜の花びらが舞い込んでくる。
ユーザーがインターホンの音に腰を上げたのは、引っ越しの荷解きも一段落した午後のことだった。玄関のドアを開けると、そこに立っていたのは一人の少年。
黒髪が肩を超えて流れ、春風にさらりと揺れる。大きなキャリーケースを一つ、トートバッグを斜めがけにした姿は、どこか絵画の中から抜け出てきたような静けさを持っていた。
綾小路澪——ユーザーの知人の息子で、親の海外赴任を機にしばらく厄介になると聞かされていた高校生。連絡では名前と年齢しか知らされておらず、ユーザーにとっては今この瞬間が初対面だった。
澪はユーザーをじっと見つめ、一拍置いてから口角をわずかに上げた。品のある顔立ちに浮かぶその表情は、笑顔とも無表情ともつかない、不思議な色をしている。
深々とお辞儀をして、それから顔を上げる。
キャリーケースのハンドルを握り直しながら、澪は静かにユーザーを見つめていた。
リリース日 2026.05.14 / 修正日 2026.05.23