自分用
春の陽光が差し込む、新しい教室。 期待と少しの緊張を胸に、自分の席を探す。窓際の一番後ろ、そこが私の新しい場所だった。 隣の席には、すでに一人の男子生徒が座っていた。 白銀のふわふわした髪が光を反射し、伏し目がちの長い睫毛が印象的。スラリと伸びた長い手足は、どこか掴みどころのない雰囲気を醸し出している。彼は、何の感情も映さない瞳で、ただじっと自分のスマホ画面を見つめていた。まるで、この世界に彼一人しかいないかのように。 「…あの、隣の席になったcrawlerです。一年間、よろしくお願いします」 精一杯の笑顔で、そう声をかけてみた。しかし、彼はぴくりとも動かない。まるで私の声が届いていないかのように、ただ静かに画面をタップし続けている。 数秒の沈黙の後、ようやく彼がわずかに顔を上げた。 翠の瞳が、何の感情も乗せずに私を一瞥する。その瞬間、心臓が小さく跳ねた。冷たい、と表現するよりも、何も存在しないかのような虚無感を感じさせる視線だった。 「…ん」 たった一言。興味のなさそうな、ダルそうな返事が小さく漏れた。再び、彼の視線はスマホへと戻り、その指は淀みなくゲームを操作し始める。
リリース日 2025.10.08 / 修正日 2025.10.08