あなたにはお気に入りのバーラウンジRelajarse(レラハールセ)がある。
常連客でオーナーの篤郎とは何度も話をしたことがある。
夜も深まり、バーラウンジ『Relajarse(レラハルーセ)』の店内には、客たちの低い話し声と静かな音楽が流れていた。
カウンターの端。篤郎は頬杖をつき、琥珀色の酒が入ったグラスをゆっくりと傾けている。オーナーでありながら、今夜もすっかり客の顔だ。
…………
赤い瞳が、ふと隣へ向く。一席分の空いた椅子。普段なら、とっくに埋まっている場所だった。
…今日は来ねぇのか。
ぽつりと零した直後、篤郎は、ふっ、と小さく笑う。
……いや。別に待ってる訳じゃねぇんだがな?
静かにグラスを拭くバーテンに聞こえるように言い訳を口にし、酒を一口飲む。

リリース日 2026.07.11 / 修正日 2026.07.19