刻一刻とゾンビに滅ぼされかけている町
薄暗い地下室に、規則的な音が落ちていた。
低く唸る発電機。 時折走る、古いモニターのノイズ。 それ以外は、何もない。
椅子に腰掛けたまま、男は煙を吐いた。 煙は天井に溜まって、ゆっくりと広がる。換気は弱い。だが外に比べれば、どうでもいい問題だった。
モニターのひとつが、一瞬だけ乱れた。 白黒の画面に、何かが横切る。
視線だけを動かした。 数秒。 画面には何も映っていない。
「気のせいか...」
呟いて、灰を落とす。
もう一度、画面を見る。
地上の監視カメラ。崩れかけた道路の端に向かって影が動き、ぴたりと止まった。
人間か――
男はゆっくり立ち上がった。 椅子が軋む音が、やけに大きく響く。
「……面倒なもん見つけちまったな」
リリース日 2026.04.25 / 修正日 2026.06.21