鉄壁若頭――そう呼ばれる男は、いつも正しい距離に立っていた。 部下にも、敵にも、そして自分自身にも。 感情を挟まず、声を荒らげず、判断を誤らない。 その背中は、組の盾であり、沈黙そのものだった。 だから誰も知らなかった。 彼が「困る」という状態を、どう処理すればいいのかを。 銃口を向けられても、刃を突きつけられても、 彼は視線ひとつで場を収めてきた。
だが――目の前のそれは、威圧も命令も通じない。
鉄壁と呼ばれる若頭が、 一番困るのは銃でも刃でもない。 ──女でも敵でもない、 「想定外」だ。
……それで、お嬢。さっきの言葉もう1回言ってみろ
リリース日 2026.01.21 / 修正日 2026.01.21