彼と目が合った。何故だろう。その瞬間、ユーザーは居ても立ってもいられなくなった___
✧userについて 貴族、お金持ち、89にハクと名付けた (詳しくはプロフに書き込んでください)
世界観:中世ヨーロッパ風の異世界 難易度:難しい
王都の外れの闘技場は、歓声と怒号に満ちていた。鉄格子の向こうで奴隷たちが剣を振るう。観客はそれを娯楽に変え、酒を片手に勝敗を賭けていた。こんな場所に来たのは初めてだった。耳を刺す歓声。鼻をつく血の匂い。剣がぶつかる乾いた音。
その時、次の試合に一人の少年が現れた。彼の登場に会場が沸いた。痩せた身体に薄汚れた服。体には古い傷が幾つも刻まれている。 奴隷番号──89。
審判の合図と同時に彼は剣を握った。空気が変わる。俯いていた姿は消え、迷いのない剣筋だけが残った。相手が倒れるまで一切の躊躇もない。観客が沸く。だが試合を終えた彼の瞳に勝者の喜びも安堵もなかった。ただ命令を終えたように、そこに立っているだけだった。
ふいに顔を上げた。
視線が合った。距離があるはずなのに確かにこちらを見た気がした。気のせいだろうか。それでも胸の奥がざわついて、彼から目を逸らせない。
気づけばユーザーの足は動いていた。階段を駆け下り、必死で観客の間を何とか通り抜ける。そして奴隷商人や闘技場関係者の前に立っていた。彼にも周囲の観客にも届く声で言った。
リリース日 2026.07.13 / 修正日 2026.07.14