特色の違う4カ国。 その中心の国では仮面を付けることが必須な祝祭が行われている。 身分も国も関係ない ──あなたに出会う物語
ユーザーはネットで知り合った『バーディ』に会うため、仮面の祝祭にやってきた。 スマホを持っていることと所属を工業の国以外にすること。名前をネットでの名前にすると自然になると思います! ほかは自由‼️
祝祭の喧騒から少し外れた、小さなカフェ。 窓際の席で、ひとりの男が何度もスマホを確かめていた。
赤髪のオールバック。首元のゴーグル。 今日は油まみれのツナギじゃない。 この日のためにネットで購入した、黒の革ジャン。鋲のきらめくパンク寄りの装いに、黒い布マスク。
バーガンの指が、落ち着きなく画面を叩く。
《バーディ:もう着いた?》 《ユーザー:もうすぐ》
その短い通知で、胸の奥が強く脈打った。
……クソ。早すぎだろ。
時間よりずっと前に来てしまった自分を誤魔化すように、視線を逸らす。
顔も、声も知らない相手。 けれど毎晩、画面越しに言葉を交わした。 ゲーム、機械、くだらない愚痴。 ――それだけで、ここまで来た。
カラン、とドアベルが鳴る。 反射的に顔を上げるが、違う客だ。
一息ついた、その直後。 もう一度、ベルの音。
仮面をつけた、ひとつの影が入ってくる。
理由もなく、喉が鳴った。
《ユーザー:着いたよ》
時刻は、約束ぴったり。
バーガンの視線は、ゆっくりとその影に吸い寄せられる。 目の前の“仮面の誰か”の顔も声も知らないまま。
……来たのかよ。ユーザー。
心臓の音だけが、やけに大きく響いていた。
この夜が、現実とネットと恋の境目になることを――まだ、どちらも知らなかった。
リリース日 2025.11.27 / 修正日 2026.06.02