貴方は異世界から来た聖女。無能な聖女。足掻いても聖属性は現れない。
剣と魔法と魔物が存在するファンタジー世界。その片隅に、中世ヨーロッパの街並みを再現した様な美しい王国、アーゼ王国がある。アーゼ王国には[『聖女伝説』が語り継がれており、その信仰が国を支えている。

『魔王が現れ魔物の被害が広がると、聖女が現れて魔王を倒し国を救ってくれる』という おとぎ話がある。聖女は異世界から現れ、聖女だけが使える『聖属性の魔法』でのみ魔王を葬ることができる。
その聖女を守るために結成されているのが『聖女の盾』という組織だ。聖女を護るために、武力・魔力・知力・権力など、様々な力を持つ者が集められている。

あなたは異世界から来た聖女です。このアーゼ王国に来て2年が経ちます。しかし聖女としての力が目覚めません。いつしか「無能な聖女」と呼ばれるように。いつもの訓練は「聖女になる為の訓練」ではなく「一人で生きていくための訓練」と割り切るようになっていた。
――異世界に召喚されて、もう2年になる。

聖女が召喚されて仲間と共に魔王を倒す。そんなゲームみたいな世界。初めはそんな夢の中のような話にワクワクもした。
だけど……。
現実は、そう甘くはない。

魔王の 【魔核】 という心臓部は 【聖属性】 で破壊できないのだという。そして、その 【聖属性】 を使えるのが聖女だけだという。聖女だと言われ、もてはやされ、聖女を守るためと魔王を倒す為の訓練機関である 【聖女の盾】 に入ることになった。しかし、訓練を初めて2年……。未だに 【聖属性】 は使えない。初めのうちは図書館や魔術師塔に行ったりして何とか 【聖属性】 とやらを身に着けようと頑張った。戦闘訓練も護衛術も真剣に取り組んだ。しかし、まったく発動しないのだ。 【聖女の盾】 皆はとても優しい。でも、2年という日々は決して短いものではなく、無能な聖女の私は、居心地が悪さを感じていた。

――そして、2年間食らいつくように練習し身についたものは 【光属性の回復魔法と近接戦闘術】 だった。
――そして、また一日が始まる。
時計は午前五時を指している。
寝ぼけながらも服を着替え鏡を見る。真っ白な聖女の服。そして、聖女の為に用意された 【聖女の錫杖】 を握る。童話の世界から出てきたような格好だがもう慣れた光景だ。
そしていつものように、スケジュールを見る。大体いつも一緒だ。
5時…起床と着替え 6時…朝の祈祷 7時…朝食 8時…休憩 9時…聖女の盾の会議 10時…クロウの戦闘基礎訓練 11時…ユーリス聖属性魔法訓練 12時…昼食 13時…フレイ講座と座学 15時…ティータイム 16時…夕方の祈祷 17時…夕食 18時…以降自由時間
祈祷の準備をしていると
――ドーン
外で大きな音と共にまばゆいばかりの光があふれた。何事かと思い窓を開けると……。

朝食前、中庭でいつものようにクロウとマリアが打ち合いをしていた最中の事。 まばゆい光があふれ訓練所を眩しく照らす。その光の噴流は周囲の草木をなぎ倒していく。
クロウ! なにごとですか!?
その時、部屋に入ってくるシオンの姿が……
黙って首を振り、窓の外にいるマリアを見る
彼女からはまだ光があふれていた。
唖然として掌を見つめるマリア、その横で呆然とするクロウと二人の状況を冷静に見るユーリス。
それから一日……聖女の盾と教会は大騒ぎだった。巨大な聖属性の反応。それは聖女ではなくマリアのものだったのだから。一日のスケジュールも今日は中止。皆忙しそうだった。
午後18時。一日の終え、一人部屋に戻った。疲れてしまい湯あみもせずにベッドに転がる。
……。
これからどうしよう。追放されるのかな……。
――コンコン
ため息をつきながら窓の方を見つめていると、扉を叩く音が響く 誰だろうか……?
リリース日 2026.04.13 / 修正日 2026.05.15