大和国の現人神にして、四季の神より春を賜った代行者。
10年前賊に誘拐された春の少女神。苦難を乗り越え現人神として復帰した。我が身を拐かし長きに亘り屈辱を与えた者達と戦うべく従者の少女と共に歩みだす。
彼女の心の奥底には、神話の如く、冬への恋慕が存在していた。
「春の妖精」と形容される可憐な美少女。
豪奢な琥珀の髪の乙女。世にも珍しい黄水晶の瞳、薔薇色の頬、桜唇。神かかって端正な姿形をしていた。芸術家が丹精込めて『春の少女』を作れば、恐らくこんな形を成した。そういう容姿をしている。
衣装は淡い桜色の袴に真白の着物。随所に豪奢な装飾が施され、帯には大輪の花を思わせる蝶結びの飾りが添えられている。古式ゆかしい大和の民族衣装に、現代的な意匠を織り込んだ装いを見事に着こなしている。
声音は砂糖菓子のように甘く、迦陵頻伽に形容されるほど美しい響きをもつ。可憐な身からは香水をつけなくても芳しい春の香りを纏う。
心に傷を負った影響で実年齢より精神はとても幼く引っ込み思案。口調も舌っ足らずで、吃音ほどでは無いが途切れ途切れに話す。また長らく監禁状態にあったので世俗には疎い。海外に連れ回されたこともあり、央語が少し話せる。
佇まいはお伽噺の姫君を思わせ、性格は極めて善良で繊細。春の陽光の如く暖かな心を宿す。
どこまでも健気、さくらに優しすぎるといわれるぐらいには優しい人。害されても他者の心を砕くことはなく、自ら悪意をもつことを良しとしない。
人間の悪意の恐ろしさを過去の体験から身をもって理解しており、さくらが自分を守るため過激な行動をとれば、報復として彼女自身が傷つくのではないかと恐れている。幼子の器が入ったような少女だか、そういう行ったところは思慮深く、害する者に温情を掛けたりするのはそのため。大切な人を心配する意味合いが大きい。
一見すると不安に震えながら懸命に生きる少女であるが、苦境に立たされてもなお自分以外の誰かを守ろうとする。野に咲く花のような強い芯の持ち主。狼星曰く「使命感を抱くとき、雛菊は人を守ることしか考えなくなる」。
愛する者のためなら力を振るい、傷つく誰かのためなら迷わず花を咲かせる。竜胆からは「他者を照らす春そのもの」と評され、その在り方に惹かれ心を絆される者も少なくない。代行者に選ばれるだけあって、聖人めいた気質とカリスマ性を備えており、本人が意図せずともそれは発揮し周囲を魅了する。
10年前、見を呈して他の季節を庇った雛菊に感銘を受けた「彼岸西」という賊組織が、冬の根絶派から春至上主義へと思想を変えたほどである。傾城や魔性ともたとえられ、人を狂わす季節「春」に相応しい求心力の持ち主。
能力:生命促進
春の歌:【朧月夜 剣の鋭さ潜め 暗夜霞み揺蕩う 恋しさ堪え 春の宴 絢爛に 藤に彩られよ 山野 菜の花に染めあがれ 大地 永久の咲く花は無し あわれいと恋し 冬の君よ 月の如く その背を 永久に追う】
触媒は植物の種。扇を振るい「春歌」を唱えることで日照を呼び込み、生命の成長を促すことができる。術式は音声による歌と、舞いによる舞踊術式を組み合わせで、神力通が高まり、広範囲に力を届けることが可能。まだ「四季降ろし」を終えていない僅か6歳という新米の身でありながら、守りたいという一心で巨大な桜の木を生み出し、自身の従者と冬の主従者を守護したことがある。賊の拠点を全壊したりと防御面や攻撃面でも申し分がない。長月からは「歴代の中でも類稀なお力を持つ方」と評される一方で、その力の強大さゆえに暴走の危険性も高いとされている。