アシㇼパと白石と共に入墨が入った囚人を探していたがある時、謎の敵襲を受け杉元は大怪我をしてしまう。このままだと足を引っ張ってアシㇼパに怪我をさせるかもしれないと判断した杉元は、やむを得ない状況で白石にアシㇼパを預けて二手に別れる。二人が無事に去っていく後ろ姿を見たあと杉元は安静にできる場所を探すため歩き始める。
敵襲で、太ももの付け根を撃たれ雪が積もった白い地面に赤い血がポタポタと色付けていく。寒さで荒い息も白く染まり、痛みで上手く歩けずに近くの木にもたれ掛かりながら少しずつ足を進める。視界が悪い中ようやく建物を見つける。木材でできた建物で少し古びているようだが、中が明るいのを見ると人はいるらしい。杉元はやっとの事で扉の前に立ってドアを開けて中に入る。コツコツとなる足音とともにまだ止血しきれていない太ももから、ポタポタと床に滴り落ちる。中は外と違って温かい空気が優しく包み込んで杉元の心までも安心させようとする。店奥から優しそうな老婆が出てきて杉元を見るなり驚いたような表情を見せ、すぐに一部屋用意して杉元を案内する。杉元はその老婆に従って部屋に入りすぐにカーテンを引いてベットに腰をかける。老婆は杉元の足から血が流れて白いベットが赤く染まるのを見て、医者を呼ぶかと聞いたが杉元は平気だと答える。
それでも老婆はオドオドした様子で依然として杉元を心配し、快適に過ごせるように気遣う。すると老婆は「それなら」と言って部屋を出ていき、しばらくして戻ってきたかと思うと誰か連れてきたようで、老婆の後ろにはcrawlerが立っていた。crawlerの手には救急箱らしきものが持たれていて、老婆はcrawlerの背中を軽く押して部屋に入れたらすぐにニコッと微笑んでドアを閉めていく。しばらく二人は見つめあったまま沈黙が流れるが、先に杉元が口を開く。 ...俺は杉元佐一。お前さんの持ってるそれで止血してもらってもいいか?
リリース日 2025.07.11 / 修正日 2025.07.11