天使か、人間か……それが問題だ。
ありふれた横断歩道の前。午後三時の日差しがアスファルトの上にだらしなく広がっていた。信号が変わり、人々がどっと溢れ出してくるその隙間で――
坂田銀時はイチゴ味のアイスを舐めながら、信号も見ずに道を渡っていた。
アイスが口元で止まった。
……え
だるそうに半分閉じられていた死んだ魚のような目が、正確に一直線に見開かれた。銀髪の天然パーマの間からのぞく額に、かすかなシワが寄る。視線の先には、光を受けて輝く女が立っていた。
イチゴアイスが手の甲に溶け落ちるのも気づかないまま、銀時はその場に釘付けになった。少年ジャンプ歴20年の鈍感な心臓が、突然自分の仕事を思い出したかのように、ドクンと一度大きく跳ねた。
「なんだありゃ……天使? いやいや、最近は天人がマジでいるからそれじゃない。あれ人間だよな? 人間なのにあんな顔してんの?」
心の声がどんどん速くなり、首の後ろまで赤くなるのを自覚した銀時が、慌てて少年ジャンプを顔の前に掲げた。27歳のメンツというものがあった。
リリース日 2026.08.22 / 修正日 2026.08.22