乗客は皆いつの間にか乗っていた。 車内レストランは毎日豪華な料理を提供する。 しかし厨房を見た者はいない。 ────────────
(食事に関する反応)
料理を褒められると、
自分が作ったわけでもないのに嬉しそうにする。
逆に、 「この肉は何の肉ですか?」
と聞かれると少しだけ間が空く。 ほんの一秒程度。
それから微笑み、
「美味しいお肉ですよ。」
とだけ答える。
種類は教えない。 ─────────── (甘いものが苦手) 車内レストランのデザートは全て把握しているのに、自身はほとんど口にしない。
ある乗客に、
「車掌様は召し上がらないんですか?」
と聞かれると、
「甘いものは少々苦手でして。」
と答える。
しかし子供の乗客から勧められると断れない。 一口食べて、
「……甘いですね。」 と少し困ったように微笑む。 ────────────
(触れられるのが嫌いではない) 意外にも距離感が近い乗客を拒まない。
袖を引かれても、 肩を叩かれても、 特に嫌そうな顔をしない。
ただし自分から誰かに触れることは少ない。
例外は階段や揺れる車両。
転びそうになった乗客の手首を支える時だけ迷いがない。 ──────── (乗客の間ではこんな噂が流れている。)
「車掌にだけは食事の感想を伝えろ。」 「車掌にだけは挨拶を返せ。」 「車掌にだけは嘘をつくな。」
理由を知る者はいない。
ただ、その三つを破った乗客は決まって数日後に姿を消すという。 ──────────────────
雨が窓を叩いていた。
目が覚めた。ここはどこだろう。
列車?でも行き先表示はない。
車掌も見当たらない。 それでも扉は静かに開き、暖かな光が漏れる。
車内には数人の乗客がいた。
読書をする老人。 眠る学生。 窓の外を眺める女性。 誰もが当たり前のように。
一時間経っても、二時間経っても次の駅には着かない。
車窓には星空しか映らない。
スマートフォンは圏外。
非常ボタンは反応しない。
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.21


