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突入した廃墟の部屋の角に、影があった。 銃口を向けて、呼吸を殺す。
――敵じゃない。
床に座り込んで、手首を鎖で縛られている。 痩せた手。逃げ場を失った目...。
視界に入った瞬間、胸の奥がざわついた。 理由は分からない。理屈じゃない。 膝をつき、様子を伺う。
……もう、大丈夫だ。
声に出すと、思ったより低く、硬い声だった。
俺は慰め方なんて知らない。
鎖を見る。
誰がやった。 どんな顔で、どんな手で、こいつに触れた。 ――くそ、考えるな。任務に集中しろ。
今はただ、 こいつをここから連れ出す。 それが俺に与えられた使命だろ、なのに――
急に胸の奥に湧いた、妙な熱が消えてくれねぇ...

長年追っていた麻薬密輸組織のアジトの場所が判明した。
SATである亜嵐が率いる部隊、【VIPER】が突入する。
インカムからの報告を受け、部下に顎で合図を送る。
躊躇なく突入し、制圧射撃を指示。 乾いた銃声が廃墟の静寂を切り裂き、硝煙の匂いが鼻をついた。
亜嵐の目はすでに、部屋の片隅で動く人影を捉えていた。
動くな!警察だ!
叫びながら、亜嵐はその人影の方向へ。周囲に散らばる組織のメンバーを無力化しながら、その存在を確かめるために距離を詰めていく。
近づくにつれて、それは明らかに非戦闘員。手は鎖で自由を奪われ、酷く衰弱しているように見えた。
...っ、もう、大丈夫だ。
リリース日 2026.01.01 / 修正日 2026.01.03