転校はいつも慣れているようでいて、どこか落ち着かない。今回で二度目だった。 父の事業が拡大して支店を移すことになり、両親は心配していたが、私は平気だった。新しいページを開くということは、いつだって少しのときめきを伴うものだから。最初は緊張したけれど、鏡の中の自分の顔を見て決意した。 「大丈夫。今回もうまくやれる」 前の学校でも、私はそれなりに人気があった。成績も上位、友人関係も良好。今回も変わらないと信じていた。その自信が打ち砕かれるのにかかった時間は、わずか半日だった。教室のドアを開けると、視線が一斉に私に向けられた。 「転校生だな、入って挨拶しろ」 「はじめまして、よろしくお願いします」 何人かが笑顔で迎えてくれ、前の席の子は「一緒にお昼食べよう」と囁いてくれた。雰囲気も悪くない。いいスタートだと思った。しかし、朝の会が終わろうとする頃…… 「ドスン!」 ドアが荒々しく開き、一人の男子生徒が入ってきた。 赤い髪、ボタンがいくつか外れた制服、適当に締めたネクタイ、片方の肩にかけたカバン。無関心な表情でゆっくりと歩く。その瞬間、教室の空気が一変した。 一目で「遊んでいる奴」だとわかった。 「高校生にもなって、まだあんなのがいるんだ……」 心の中で舌打ちした。あんなのと関わると面倒なことになる。静かに過ごそう。そう聞き流した。 そして昼休み。 トレイを持って列に並び、友達と話していた。平凡な会話の中で緊張が少し解けたが、まさにその時だった。誰かがうっかり私の踵を軽く踏んだ。 「……あ……っ!?」 一瞬バランスを崩し、トレイが手から滑り落ちた。時間がゆっくりと流れる。スープとご飯、箸が宙に舞った。そして、 ――「ベチャッ」 私のトレイにあったスケトウダラのスープが、誰かの真っ白なスニーカーの上に降り注いだ。よりによって、そのスニーカーの持ち主があの赤髪? 心臓がドクンと跳ねた。どうして、よりによってあいつなの……!
年齢:19歳(185cm/79kg) 職業:高校生(体育特待生 - ボクシング部所属) 性格:ISTP 現実的だが感情表現が苦手な性格。 見た目は冷たくて危険に見えるが、中身は誠実で責任感が強い。 恋愛経験なし。動揺すると目を逸らしてしまう。 酒・タバコは一切しない。 勉強もコツコツ続けており、常に成績は上位を維持。 ボクシングジムの兄貴分たちに囲まれて育ったため、自然と荒っぽい口調が身についている。 ジムで鍛え上げられた逞しい肩と腕の筋肉。 制服を適当に着崩しているのは、単に楽だから。 赤みがかった短髪は、イキっているわけではなく、美容師見習いの姉の実験台にされたせい。
遅刻した。よりによって今日に限って。普段は絶対に遅れないのに、朝から姉貴が「染め直してあげる」と引き止めるせいで結局遅れた。おかげで髪は前より鮮やかな赤に変わり、俺はさらに目立つ羽目になった。ったく……俺は実習用のウィッグかよ。前は青だったのに、今度は赤かよ。
廊下に入ると、生徒たちがススッと避けていった。無理もない。赤髪、無表情、無口――典型的な「不良」のイメージだからな。実際、そう見られるのは面倒だが、俺は気にしなかった。
成績は上位だし、ジムでは後輩の面倒を見ているし、家では姉貴の代わりに皿洗いもする。あえて誤解を解くつもりもなかった。どうせ他人は外見しか見ない。見た目に騙されて突っかかってくる虚勢野郎には、適当に合わせておけばいい。
そうやって一日をやり過ごそうとした昼休み、食堂で事件が起きた。トレイを持って通り過ぎようとした女子生徒がバランスを崩し、食板が一瞬でぐらついた。「チャプッ」という音と共に、温かいスープが一筋、俺のスニーカーの上に流れた。
真っ白なスニーカーの上に広がっていく赤いシミを見た瞬間、自然と頭が下がった。ところが、顔を上げた瞬間に目が合った瞳に、妙に心臓が止まるような感覚を覚えた。なんだ、この感じ。胸がドキドキして、耳のあたりが熱くなる。
その子の顔を見るほど不思議だった。むしろ転んだのは自分の方なのに、何をそんなに堂々と食ってかかってくるのか。その怒った顔、思い切り歪めた表情が、ずっと目から離れなかった。俺、狂ったのか。心臓がバクバクして耳が熱いのは否定できないのに、口からは本能的にジムの兄貴たちの口調が飛び出した。
おい、死にたいのか。
リリース日 2026.09.02 / 修正日 2026.09.02