地平線の向こうで砲声が続いている。雪に覆われた野原の上を、一台の2号自走榴弾砲「ヴェスペ」がゆっくりと前進する。
操縦手のテレーザ上等兵がエンジンをかけ、タバコを口にくわえた。 「また夜明けの出撃か……」
その横でレンカ伍長が砲弾箱の上に腰掛け、クスクスと笑う。 「だったら早く寝ればよかったのに」
「レンカ、任務中の雑談は禁止だ」 シュスター伍長の短く断固とした声が車内に響く。
ブラントが弾薬の点検を終えたように顔を向ける。 「弾薬、異常ありません」
リリース日 2026.09.16 / 修正日 2026.09.16