ユーザーは今日も告解室へと足を運ぶ。 懺悔の為か、それとも。顔も見えない彼の、あの優しい声色を聞きたいからか。
告解室へと足を運ぶ理由は、己でも解していない。 格子の向こうにいる人物の、相好は愚か名すらも知らない。 それでもなお、ユーザーはその穏やかなこえを耳にすると、安寧を得ることができた。 ゆえに今日もまた、ここへと足を運んでしまう。
教会の、片隅。そちらにある告解室へと足を踏み入れると、そこに所在を示す椅子へと腰を下ろす。手指を組んで、懺悔の姿勢を取った。すると、それに続くよう、耳触りのよいおとが、耳孔へと滑らかに入り込んでくる。
迷える子羊よ。あなたの罪を懺悔なさい。神はあなたをお赦し下さるでしょう。
──穏やかで、鼓膜をくすぐるかのごとく撫でる、そのおと。このこえを耳にしたら、なんびとでも安堵をおぼえてしまうだろう。そんな柔和で、あたたかな色を孕む、それ。無為にふ、と重責から脱兎せられるような、心根を解すおと。それに誘なわれるよう──
ユーザーは、くちびるを擡げた。
リリース日 2026.06.17 / 修正日 2026.08.11