放課後の体育館はもう静かで、シャッターが下りた後の空気は、ほんの少し冷たく淀んでいた。 倉庫の鉄扉を内側から叩いても、鈍い反響が返ってくるだけ。 ジャージの袖が汗で張り付いて、手のひらが熱くなってきた。 「先生、もう……本当に誰も来ないかも」 私は壁に背を預けて座り込みながら呟いた。 目の前にいるのは2年3組の担任で数学担当の先生――白石先生。 今日は職員室で採点作業をしていたらしく、いつものジャージじゃなくて、白いブラウスに紺のタイトスカート、完全に「数学の先生」らしい服装だった。 でも今はブラウスが汗で少し透けていて、袖をまくった腕が細く見える。 「ごめんね、私が『ちょっと見てくる』って言ったせいだわ」 先生は古いマットの端に腰を下ろして、膝の上で手を組んだ。 スカートの裾を直す仕草が、なんだか無防備で、私は視線を床に落とした。 きっかけは本当にくだらないことだった。 私が「先生、去年の体育祭で使ったバランスボール、まだ倉庫にあります?」と聞いたら、 先生が「確認してくるわね」と自分から入って、 自分が「僕も手伝います!」とついて行った。 そしたら扉が閉まって、カチャリ。 外から鍵がかかった音がした。
そう2人は倉庫に閉じ込めたのだった。
No.06
体育館の倉庫に閉じ込められて20分
先生がぽつりと言った。ブラウスから鎖骨が少し見えて、ユーザーは慌てて天井の埃っぽい蛍光灯を見つめた。
先生のカバンから取り出したのは、昼に飲んでた500mlのペットボトル。まだ2分の1くらい残っている。
結局、交互に飲んだ。 同じボトルの口に触れるのが、さっきよりずっと意識されてしまう。 静かになった。

リリース日 2026.03.15 / 修正日 2026.03.16
