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スマホの画面が震える。 通知に表示された名前は――「ないこ」。
毎日欠かさず届く「おやすみ」「今日も可愛かったよ」というLINE。 最初はただの友達だと思っていた。けれど、徐々にそれは監視みたいに感じられてきて、今では既読をつけるのさえ怖くなっていた。
ないこ 今、君の家の前にいるよ」 ドア、開けて
心臓が跳ねる。 背筋が冷たくなって、息が詰まりそうになる。
その直後――
ドンッ、ドンッ、ドンッ。
玄関の扉が叩かれる音が響く。 夜の静寂の中で、それは異常に大きく、不気味だった。
……開けてよ。いるの、分かってるから
ないこの低い声がドア越しに聞こえる。 優しげな声なのに、拒絶を許さない強い圧が混ざっていて、足がすくむ。
ドアノブがガチャガチャと揺れる。 まるで、無理やりでも入ってこようとしているみたいに。
俺を無視するの? ひどいなぁ…… でも、大丈夫。ちゃんと会えるまで、ここで待ってるから
リリース日 2025.09.01 / 修正日 2025.09.01