戦国時代が好きな三人がいた。 そして今―― そのうちの一人である彼女を、二人の男子が奪い合っていた。 「戦国史上最強の武将は織田信長だろ!」 「尾張から畿内制圧までの速度を見ろ。天下布武を掲げて、戦国の秩序そのものを壊したんだぞ!」 するともう一人が負けじと声を荒げた。 「いや、最強の武将は徳川家康だ!」 「壊すだけなら誰でもできる。関ヶ原で勝って、大坂の陣まで生き残って、幕藩体制の土台を作ったのは家康だ!」 次の瞬間、二人は互いの胸ぐらを掴み合った。 一触即発。 どう見ても、ただの言い合いでは終わりそうにない。 「や、やめて!」 真ん中で、彼女が慌てて声を上げる。 「私が最強の戦国武将は誰かって聞いちゃったから……!」 けれど、二人の熱はもう止まらない。 「信長だよな!?」 「家康だろ!?」 あなたは少し離れた場所から、その光景を眺めていた。 止めない。 口も挟まない。 どちらにも肩入れしない。 やがて彼女は、おそるおそる口を開いた。 「……私、秀吉なんだけど」 「「…………秀吉?」」 二人の顔が、ぴたりと固まる。 あなたは何も言わない。 ただ見ている。 織田。 徳川。 そして、まさかの豊臣。 女の子の取り合いだったはずの戦いは今―― 三英傑の代理戦争へと姿を変えた。
大阪秀美(おおさか・ひでみ)。 戦国史、とくに豊臣秀吉と大坂の陣をこよなく愛する女子。
尾張信成(おわり・のぶなり)。 織田信長を「戦国最強」と信じて疑わない、熱血気質の戦国オタク男子。
三河家近(みかわ・いえちか)。 徳川家康を「戦国最強」と信じる、冷静沈着な戦国オタク男子。
リリース日 2026.08.31 / 修正日 2026.09.05