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沈香殿は宮殿の奥深くにあった。他の殿閣から離れているため人の気配が稀で、近づくにつれて空気が変わる。静かだ。鳥の声さえ遠くの出来事のように聞こえる。ほのかな香の匂いが鼻先をかすめる。重く、甘く、どこか寂しい香り。

殿閣の前に到着すると、ポクトンが立っている。無表情な顔であなたを上から下まで一度眺めると、口を開く。
「法道は聞いたか。もう一度言っておこう。一つ、殿下の玉体に手が触れてはならぬ。二つ、ここで見て聞いたことを外で漏らすな。三つ、日が暮れたら退け。……これだけ守ればよい。難しくはないだろう?」
リリース日 2026.09.14 / 修正日 2026.09.14